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人材育成と美しいサッカー アーセン・ベンゲルさん


「結果は重要なのではない、結果が全てなのだ」

その考え方に度肝を抜かれた。
社会人になってからというもの
「求められるのは内容ではなく結果」
と耳にタコができるぐらい言い聞かされてきた。

実際にそうなのだと思う。
結果、すなわち報酬がなければ
ビジネスは成り立たない。
私自身も給料が貰えなければ
仕事をする意味はないと感じるからだ。

当時、私は営業マンだった。
ノルマというのはなかったが、
完全歩合制だったため
月に成約が1件もなければ
給料はなかった。0円である。

そのため、入社してからというもの
どうやったら成約してもらえるのか、
どうすればお客様に信頼してもらえるのか、
というのを研究する毎日だった。

色々な方法を試した。
ガチガチに商品の説明をしてみたり、
セールストークなんてそっちのけでお客様と世間話をしたり、
その時のお客様の反応をノートにメモを取って、
どの方法が最適解なのかを調べた。

結果、セールストークは少な目に、
お客様をよく観察して質問したり世間話したりして、
場の空気を盛り上げるというか、和ませるというか、
商品を売るというより、自分自身を売る方法がもっとも効果的。
という結論に至った。

多くのビジネス書にもそう書いてあったので、
「これは間違いない」と確信した。

それからは安定して稼げるようになった。
営業という仕事を始めた当初は、
怒鳴られたり、居留守されたりは当然で、
「変な人だ」と言われ通報されそうになったこともあった。
それと比べたら大きな進歩だった。

しかし、波というのはあるもので、
ある日から急に成約が取れなくなった。
今まで上手くいっていた方法が
通用しなくなったのである。

「これはマズい」
違う方法を模索した。
といっても、新しい方法というのは考えつかず、
チャレンジする気にもならなかった。
月に3件は成約を取らないと生活ができない。
新しいことを試すより、
今まで自分がやってきたことを続けるべき。
というのは間違いなかった。

何が駄目なのかがわからないままとにかく足を動かした。
数打てば当たると言えば無謀に聞こえるが、
それが営業の世界のセオリーだった。

ただ、精神的にはどんどん疲弊して
「この仕事辞めようかな」
なんて頭の片隅では考えていた。

いちおうその月はなんとかなって
頑張った分の結果が出たわけだが、
こんな事を毎月毎月やってるのは
馬鹿らしいと考えるようになった。

転職サイトを眺める時間が増えた。
そんな時に出会ったのが、アーセン・ベンゲルさんだ。


目次

概要

アーセン・ベンゲル 1949年10月22日生まれ フランス出身

イングランドの名門サーカークラブ、アーセナルで22年間監督として在籍していた。
1995年には日本のサッカーチーム、名古屋グランパスで監督として2年間在籍。
アーセナル監督就任当初は無名の存在で、イギリス国外出身の監督就任は、
クラブ史上初ということもあり、まったく期待されていなかった。

1年目にリーグ3位という好成績を上げ、ファンからの信頼を集めると、
2年目には若手中心のチームでリーグ初優勝を飾る。
2003-04シーズンは伝説のシーズン無敗優勝を達成。
無敵のアーセナルを作り上げた。

特徴といえば、なんといっても
選手の才能を発揮させるのが上手いことと、
イングランドでは異質な、スピード感のある美しいパスサッカーだろう。

他のチームで力を出し切れていない若手の選手を中心にチームを補強し、
長所を生かした起用をすることで、数多くの無名の選手をスター選手に変えた。
その中でも一番有名な選手は、ティエリ・アンリだろう。
身長が188cmと高く、それでいて抜群のスピードとテクニックがあるという、
元々才能があってユベントスというイタリアの強豪チームにいたのだが、
サイドハーフというゴールからは遠いポジションでプレイしていた。

ほとんど実力を発揮できていないアンリを
その年に売却したストライカー、アネルカの半額程度で獲得し、
ベンゲルはアンリをチームの新しい点取り屋、ストライカーとして起用した。
その後のアンリの活躍は言うまでもなく、
イングランドリーグ史上最高のストライカーに成長した。

そのアンリを主軸としたベンゲルのパスサッカーは
イングランドに旋風を巻き起こす。
ベンゲルは「ボール支配による前進」と「爆発的なペース」
と自チームのサッカーを評していた。
現代のポゼッションサッカーを先取りしたような戦術になるが、
ベンゲルのポゼッションサッカーはとにかく速い。

現代のポゼッションサッカーは、ボールを支配する(保持する)ことに重点を置く。
そうすることで、相手に攻撃する時間を与えずに、決定的な攻撃のチャンスを探る。

対してベンゲルのサッカーは、選手たちがとにかく動く。
空いているスペースに飛び込んだり、速いパス回しで相手ディフェンスの穴を作る。
空いてるスペースがないなら走り回って強引にスペースを作る。
ボールを支配することで相手陣地へ攻め込むというのは変わりはないが、
そこからのスピード感が違う。超攻撃的なポゼッションサッカーだ。

故に、失敗も多い。無敗で優勝した時も、
ボールを奪われてからの相手のカウンターにヒヤリとすることも多かった。

ベンゲルサッカーの美しさには、生と死の匂いが漂う。

名言集

  • 結果は重要なのではない。結果が全てなのだ。
  • 創造性ある選手を育てるには、成長の過程で表現の自由を与える必要がある。失敗を恐れる事なくテクニックを試す事ができる環境を整えなくてはならない。
  • 選手の潜在的な能力を見抜く方法とは、ひと言でいえば、常に相手の長所を発見していくということだ。出会う人ごとに、この人には何かがある、何か良い面を持っている、と自分に言い聞かせることだ。
  • 人生で大切なことは、自分を信じること。
  • パスは未来に出せ。横パスは現在。バックパスは過去。
  • サッカーにおけるテクニックとは、作家の持つボキャブラリーに似ている。ボキャブラリーが豊富だからといって、作家としての才能があるとは言えないが、ボキャブラリーが少なければ、優れた小説を書けるわけがない。
  • 常に長所だけを生かすようにしなさい。
  • 若手の育成で難しいのは、『この選手にプレーするチャンスを与えよう』と自分が腹をくくれるか。
  • 毎週ベストメンバーを見たがる専門家やサポーターを向こうに回して『それよりも君を信じてチャンスをあげることにした』と言える強さが求められる。
  • この仕事で私が最も信頼しているのは自分を変えていく事が出来る人間だ。なぜなら、自分を変えるという事は最も難しい事だからだ。それが出来る人間こそが人生で最も成功できるのかも知れない。
  • 成功した人をみればその人がモチベーションを常に一貫して保っていることに気付くだろう。
  • あなたがそれをすることができないと思ったのなら、そこには全くチャンスがない。
  • 誰もが才能だけでは暮らしていくことはできない。あなたに才能があったとしても仕事のない人生はどこにも辿りつかないだろう。
  • フットボールのチームは美しい女性のようだ。そのことを伝えなければ、美しいということを忘れてしまう。
  • 偶然成功した人もたしかにいるかもしれない。しかし私の成功は必然だ。



学んだこと

結論としては、
自分の信念を貫き通すことが大事。内容を突き詰めていけば結果は出る。
という考えに至った。
ただし、頑固になってはいけない。
状況に対応し内容を変化させ続けなければならない。

私はセールストークの最適解を見つけた。と喜んでいたが、
同じことを繰り返していてスランプに陥った。
成功体験は貴重なものだが、絶対的なものではないことを学んだ。

やり方を変えるというのは、
結果から逆算して、式を変化させることで、
ガラッと変えるということではない。

全てを変えることも時には必要になると思うが、
その時は自分の才能を信じるのみである。

私は自分の才能に期待したことはほとんどないが、
飛び抜けた才能はなくても、周りの人間と比較して
優れている部分というのは必ずある。
まずは目の前にいる30人ぐらいと自分とを比較して、
何ができるかを考える。

結果はすぐには出ないことの方が多いし
焦っても仕方がない。

小さい競争から始めて、結果が出れば
今よりも少し大きな競争に参加するのがいい。

才能がないと嘆くのは勿体ない。
少しでも自分の良いところを見つけるべき。
あなたがそれをすることができないと思ったのなら、そこには全くチャンスがない。

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